イギリスのことあれこれ

主にイギリスのことについて色々書いています。イギリスに関係ないこともたまに書いています。

【旅行失敗談 その2】「パリに取り残された私たち」後編

ブリストル(イギリス)→パリ(フランス)への飛行機(LCC)が大幅に遅延し、そのせいで乗り換え予定だったパリ→羽田の便に間に合わず、新しい航空券を泣く泣く購入する羽目になった様子を前回の記事でお伝えしましたが、今回はその続きです。
↓前回の記事はこちらbritish-trivia.hatenablog.com

なんと、前回の記事には140を超えるスターをいただきました!
こんなにたくさんのスターをいただいたのは初めてで、本当にうれしいです。ありがとうございます!

日本に帰国後…

日本に帰国してから数日間、痛い大出費で気分が滅入っていましたが、なんとか補償を請求できないものだろうかと色々調べてみました。
すると見つけたのが「AirHelp」というサービス。

アメリカに本社を置く会社で、航空会社への補償請求を代行してくれるとのこと。
日本人が利用したというブログ記事もいくつか見つかり、ちゃんと対応してもらえたと書かれていました。

今回の飛行機遅延に見舞われるまでは知らなかったのですが、EUでは「EU261法」という法律があり、EU圏内発着の便が3時間以上遅延した場合、搭乗者は補償金を航空会社に請求する権利があると定められています。

具体的には以下の場合です。
(下記の遅延時間は出発時刻ではなく到着時刻の場合)

  1. 飛行距離3,500km以上の便が4時間以上遅延:600ユーロ
    (遅延が3時間以上4時間未満の場合は300ユーロ)
  2. 飛行距離1,500km以上の便が3時間以上遅延:400ユーロ
  3. 飛行距離1,500km未満の便が3時間以上遅延:250ユーロ

私の場合は、
ブリストル(イギリス)→ パリ(フランス)
の1,500km未満で5時間の遅延でしたので、「3.」に当てはまります。

※EU261法についてはこちらのサイトに詳しく書かれています。www.eu261.jp

この「EU261法」を盾に航空会社に請求してくれるというのが、AirHelpです。
そして請求が通り、補償金が航空会社から支払われたときのみ、AirHelpに対して手数料が発生するというシステム。
手数料は補償金額の25%となっています。

AriHelpに申し込んでみた

早速、Webサイトで遅延した便の便名や遅延時間、パスポート情報などを入力し、ホテルへの宿泊発生や羽田への航空券をもう一度買うことになった点も申し送りして申し込んでみました。
その後、AirHelpから「LCCに補償を請求する準備をしているので、請求が完了したらまた連絡します」というメールが届きました。

実際にAirHelpから届いたメール。個人名や航空会社名はぼかしています。

ただ、前回の記事で書いた通り、ブリストルの空港で「No problem」と言われても全然大丈夫じゃなかったり、羽田行きの便の航空会社から「乗り遅れても対応させていただきます」と希望を持たせておきながら後で「航空券をもう一度購入してください」と、とどめを刺してきたりという苦い経験から、この時は「ほんの少しでもお金が戻ってきたらラッキー」くらいの気持ちで、あまり期待しないようにしていました。

LCCが支払いを拒否してきた!

その後「LCCから何の返答も来ないので法的措置も視野に動いていく」というメールが届きました。
なんか大ごとになってきたなと思いながらその2日後、再度メールが届き、今度は「LCCが支払いを拒否してきたので、法律に基づき訴訟に持ち込む」とありました。
すげぇ、裁判沙汰になってしまった!

といっても、被告人・弁護人と検察が出廷する典型的な裁判ではなく、おそらく必要な書類を提出して、裁判所か何かの行政機関が航空会社に補償金を支払うよう通達するというような事務手続きだとは思いますが…

AirHelpの実績では訴訟に持ち込んだ結果95%が勝訴していたとのこと。
あとは運を天に任せるのみです。

なお、この時のメールによると、航空会社が補償支払いを拒否してくるのはよくあるケースだそうです。

ついに勝訴!

それから約半年後、「補償金が入ったので受領できるよう手続きしてください」というメールが届きました!!

振込先の銀行口座を入力する必要があり、海外の会社に口座番号を知らせるのは少し不安でしたが、入力しないと受け取れないので手続きを進めました。
念のため、残高は一度別の口座に移しておきました。

そして手続きしてから数日後に通帳を見ると…ちゃんと入金されていました!

今回受け取れたのは、900ユーロ。
日本円で118,587円でした。
(銀行口座には円建てでこの金額が振り込まれていました)

なお、AirHelpの手数料は航空会社から支払われた補償額の25%にあたるため、逆算すると以下の計算になります。
LCCから支払われた補償額:1,200ユーロ
・AirHelpへの手数料(25%):300ユーロ

ちなみに、入金があった3ヶ月後に、別口座に移しておいた金額をこの口座にまた戻しましたが、戻した後も怪しい引き落としは一切ありませんでした!

AirHelpを使ってみて

AirHelpを利用した日本人のブログはいくつか見つかったものの、このようなサービスを利用するのは初めてだったので、申し込み当初は大丈夫だろうかという不安もありました。
しかし、最後までしっかり対応してもらえました。

申し込み後からの対応は早く、進捗も随時メールで連絡があり、Webサイトの個人ページからも状況を確認できたのは安心感がありました。
訴訟に持ち込まれた後はしばらく進捗に更新がない時期もありましたが、その間の進捗問い合わせにもすぐに返事が返ってきたのも心強かったです。

前述の通り、今回は飛行距離が1,500km未満なのでEU261法での補償額は本来1人あたり250ユーロ、2人分で500ユーロ。
それが最終的には2人分1,200ユーロ、つまり飛行距離3,500km以上の扱いとして金額を引き上げてもらえました。
結果的に羽田への航空券の全額補償には至りませんでしたが、これはありがたい結果だったと思います。

航空会社に補償を請求しても拒否されることはよくあるということで、そうなると個人では対応が難しいものです。
このような場合は、プロに任せたほうが確実だと思います。
欧州を発着する飛行機が遅延してしまったら(もちろん無いのが一番ですが…)、まずはAirHelpに申し込んでみることをお勧めします。

www.airhelp.com

余談:AirHelpとのやり取りには

AirHelpとのやり取りはすべて英語でした。
プライベートで知人と英語でやり取りすることはあったものの、仕事で英文ビジネスメールを書く機会は全くありません。
そのため、自分の書いた英文メールが伝わるか?と思い英会話の先生に添削してもらっていました。先生には本当に感謝です!

ちなみに、今でもその先生に会うと「Another Lawsuit?」(また訴訟かい?)とジョークで聞かれるのが定番になっています。

AirHelpは自分が利用した当時と比べると対応言語が増えましたが、2025年12月現在、残念ながら日本語は対応していませんでした。

AirHelpの対応言語

ただ、今ではGoogle翻訳のほかにAIの発達により、日本語を機械が英訳してくれる技術が進歩し、ネイティブに添削してもらわなくても英訳できるようになりました。
そのため、以前のような「一から英語で書く」というハードルは低くなったと思います。

ちなみに、私自身のやり方になりますが、最近、時間がないときは英文作成に以下の方法で機械翻訳を使っています。

  1. できるだけ短文で日本語を書く(文が長くなった時は2つの文に分ける)
  2. Google翻訳で「1.」の日本語を英訳する
    ※「1.」で「短文で」としたのは、日本語特有の修飾語の位置や読点の有無により、Googleが文章を違う意味合いで認識してしまうのを防ぐため
  3. 「2.」の英訳をAI (Microsoft Copilot, ChatGPT, Google Geminiなど)に「自然な表現になるようにリライトして」と頼んで表現を見直してもらう

心配だったら、「3.」で出来た英文をGoogle翻訳で日本語訳に戻すという、いわゆる「逆翻訳」を行い、「1.」の日本語と意味合いが変わっていないか確認する手段もありです。

「2.」を飛ばして「1.」→「3.」で直接AIに訳してもらう方法もありますが、私の場合英訳がうまくいかず、意図通りになるまで修正に時間がかかったことがあったため、それ以来「2.」を経由するようにしています。

以上が、私の海外旅行での大きな失敗談です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
これから海外へ出かける方の参考になればうれしいです。
そして、私自身ももう二度とこんな大きなトラブルには遭いたくないものです…